日本バイオ炭コンソーシアム
German Biochar Forum
ドイツ語圏最大のバイオ炭フォーラム「German Biochar Forum 2023」がベルリンで開催
2023年11月13日-14日に、German Biochar Forum 2023がベルリンで開催されました。主催は2017年にバイオ炭の普及を目的に設立したGerman Biochar e.V.(旧:Fachverband Pflanzenkohle e.V)。現地には160人、オンラインには60名ほどの参加がありました。フォーラムでは、研究者、炭化炉メーカー、製炭事業者、農業者、行政職員などバイオ炭関連の多様なステークホルダーが集い、「バイオ炭活用による気候保護、循環経済、エネルギー変革」をテーマに、バイオ炭の現状と課題、そして将来について議論がなされました。日本バイオ炭研究センターからはオンラインで参加しました。
フォーラムの1日目には、ベルリン-フンボルト大学のFuss教授からパリ協定の目標を達成するには様々なCDR(Carbon Dioxide Removal)技術の拡大が温室効果ガスの削減と並んで不可欠であること、EBI (European Biochar Industry Consortium)のLerchenmüller氏からEBIのマーケットレポートを基にEUの2030年、2040年のCDRの目標値とバイオ炭産業の成長シナリオについて、CarbonfutureのLehner氏から継続的で質の高い炭素除去の拡大のためにCarbonfutureは削減情報のデータ管理と市場の発展に貢献していくこと、など主にバイオ炭をめぐる枠組みの話がありました。2日目には製炭者、炭化炉メーカーから実際の運用や、炭化炉設置許可申請の流れなどの具体的な話がされました。特に下水汚泥の炭化とその炭化物の活用、バイオ炭のコンクリート利用とその障壁については参加者の関心が高いように感じました。
複数の講演者からキーワードのように言われていたのが「バイオ炭の活用を拡大していくための方策」という言葉。バイオ炭の活用が土壌改良や気候変動にプラスの効果があるとという学術論文が増加している一方で、バイオ炭が広く社会に普及していくためには、慣習を変更する心理的な壁、バイオ炭入りの肥料やコンクリートなど新製品の認証、経済性の確保などクリアすべき課題は多様です。国や文化は違えど、バイオ炭普及に向けた課題は日本とも類似していることを実感したフォーラムでした。
(文:土井美奈子)
German Biochar e.V
https://fachverbandpflanzenkohle.org/
German Biochar Forum 2023プログラム