
日本バイオ炭コンソーシアム
国内外バイオ炭ニュース3/5-14
バイオ炭関連ニュース Quantum Carbon Dailyより

Quantum Carbon Daily (Quantum Commodity Intelligence in London)ニュースから、バイオ炭に関する記事を抜粋・要約してお届けします。(2025年3月5日から3月14日分)
出典:Quntum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)
(記事詳細は有料)
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■Offtake deals key to locking in biochar supply, pricing: 2025年3月5日付
(バイオ炭の供給とクレジット価格を確約する鍵はオフテイク契約)
バイオ炭の炭素クレジットを確保する最善の方法はオフテイク契約であるとする新たな報告書が、英国のCO2除去(CDR)マーケットプレイス「Supercritical」によって発表された。報告書によると、2025年に利用可能な高品質なバイオ炭クレジットの62%はすでに長期契約されており、2026年分も28%が契約済みであるという。バイオ炭は、2024年の世界のCDRクレジット供給量の86%を占める最もスケーラブルかつコスト効率の高い技術として注目されているが、供給量には限りがあり、特に高品質なバイオ炭の確保が急務となっている。Supercriticalは、炭素除去市場が「スポット購入」から「体系的な調達」へと移行していると指摘し、早期にオフテイク契約を結ぶ企業が市場の主導権を握ると分析している。
■Japanese start-up partners to create carbon credits in Vietnam:2025年3月5日付
(日本のスタートアップ、ベトナムでカーボンクレジット創出へ提携)
日本のスタートアップ企業「Jizoku」が、ベトナムの農業会社Kinglands JSCと提携し、農業廃棄物の堆肥化・水管理の改善・衛星を活用した農業モニタリングによる果樹園の環境負荷を低減する農法への転換を目指し、持続可能な農業を推進することでカーボンクレジットを創出するプロジェクトを開始する。得られるカーボンクレジットの売上は関与する農家に還元される。Jizokuは、昨年6月に一橋大学から生まれたスタートアップ企業であり、農業分野でのカーボンクレジット創出を目的とする日本企業の一つである。
■Africa-based project developer pivots to electric cookstoves:2025年3月6日付
(アフリカ拠点のプロジェクト開発企業、電気調理器に転換)
ウガンダを拠点とするプロジェクト開発企業UpEnergyは、アフリカで初めて、Gold Standardの「計測・測定型エネルギー調理機器(MECD)」の方法論に基づいた電気調理器のカーボンクレジットを発行したと、発表した。電気調理は、従来の調理方法に伴う直接的な排出や室内空気汚染を完全に回避でき、従来の方法に比べて調理時間を1日平均37分短縮できるうえ、木炭の購入費用も節約できるとUpEnergyは説明している。調理器にはセンサーが搭載され、リアルタイムの消費データを記録し、1年以上の情報を保存できる。
■English football club agrees CDR deal with US DAC firm:2025年3月6日付
(イングランドのサッカークラブ、米国DAC企業とCDR契約を締結)
米国の直接空気回収(DAC)開発企業1PointFiveが、イングランドのリバプール・フットボール・クラブ(LFC)と提携し、クラブが販売する一部の製品のカーボンフットプリントを相殺するCO2除去(CDR)を提供することになった。この提携はLFCの環境負荷削減を目指すサステナビリティ・イニシアチブ「The Red Way」の一環である。発表によると、LFCの対象製品ごとのカーボンフットプリントは、1PointFiveのDAC技術によって大気から除去されるCO2の量と同等に補償される。
■Biochar service provider launches finance, software products:2025年3月10日付
(バイオ炭サービスプロバイダー、金融・ソフトウェア製品を発表)
バイオ炭の仲介業者Biochar Worldは、開発企業向けにソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)を提供するほか、カーボンクレジットの先行購入を資金調達の一形態として実施することを明らかにした。この業界では、前払い契約による販売が高額な生産設備や原料供給チェーンの資金調達において重要な役割を果たしている。AIを活用したSaaSは、プロジェクト準備度評価、資金調達計画、コンプライアンステンプレート、自動化された監視・報告・検証ガイダンスなどのサービスを提供する。これらのソリューションは、バイオ炭開発企業に資金調達、認証取得、そして事前契約済みのオフテイクを通じた即時収益化の明確な道筋を提供できると同社は声明で述べている。
■BMW retired first biochar credits last year: 2025年3月14日付
(BMW、昨年初のバイオ炭クレジットを償却)
ドイツの自動車メーカーBMWは、ドイツのプロジェクト開発企業AtmosfairとFirstclimateが運営するバイオ炭プロジェクトから得たCDRクレジット25,000tCO2eを償却したと発表した。バイオ炭クレジットの市場平均価格を1tCO2eあたり約130ドルと仮定すると、BMWは2024年に約325万ドルを費やしたことになる。
BMWの2019年時点の総排出量(スコープ3を含む)は1億5,010万tCO2eであり、その中にはBMW車の燃料燃焼によるカーボンフットプリントも含まれている。最大10%の排出をクレジットで相殺する計画に基づくと、2050年までに最大1,500万tCO2eのCDRクレジットが必要になる見込みである。
■New ocean CDR technique ready for sea trials:2025年3月14日付
(新たな海洋CDR技術、海上試験へ:専門家らが評価)
二酸化炭素除去(CDR)のための新たな海洋貯留技術「海洋無酸素炭素貯蔵(MACS:Marine Anoxic Carbon Storage)」が、実海域での試験に進む準備が整った。 初期調査の結果、「永久かつ環境に安全な炭素隔離が可能である」と示唆されたため、さらなる詳細研究が求められている。MACS技術は黒海や海洋堆積物、超高塩分の深海盆地など、自然に酸素が存在しない環境を利用して、炭素を吸収したバイオマスを埋没させる技術である。ただし、大規模なMACS開発には解決すべき重要な課題が残ると指摘されている。
参考:黒海はヨーロッパとアジアの間にある内海。表層水と塩分の濃い深層水が層を成して混合しない。このため深層水では酸素が欠乏し嫌気性バクテリアによって硫化水素が発生し、海水中の鉄イオンと結合し黒色の硫化鉄を生成する。