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研究者コラム⑯栗本康司先生

第7回アジア太平洋バイオ炭会議に参加して

研究者コラム⑯栗本康司先生

第7回アジア太平洋バイオ炭会議に参加して


秋田県立大学 木材高度加工研究所教授

日本バイオ炭研究センター 客員研究員

栗本康司


第7回アジア太平洋バイオ炭会議(The 7th Asia Pacific Biochar Conference, APBC)に参加し発表を行ってきました。この会議は、第2回バイオ炭研究と応用国際会議(The 2nd International Conference on Biochar Research and Application, ICBRA)と連続し、9月21-22日に中国瀋陽市で開催されました。


初日の21日には、ICBRA主催の13件の基調講演が行われ、22日のAPBCでは83件の口頭発表がありました。会議前日の20日はレジストレーションでしたが、夕刻から大学院生による口頭発表が4つの会場で行われ、合計68件の発表がありました。また、67件のポスターセッションも行われました。これらの発表はすべて、ホテルの一つのフロアで行われたため、多くの参加者が集まり、非常に活気ある雰囲気に包まれていました。


私は22日の午前中に開催されたAPBCのセッション「Biochar Carbon Sequestration and Carbon Asset Development」において、前半5件の司会を務め、さらにキーノートの講演として「Converting JIS M 8812 Parameters to IPCC Parameters for Estimation of Carbon Sequestered by Addition of Biochar to Soil in Japan」という題で、日本におけるバイオ炭の取り組みについて紹介しました(写真1)。

写真1 筆者による講演

この発表では、日本で従来から行われている工業分析(JIS M 8812)のデータを用いて、バイオ炭の生成温度や農地に施用した際の炭素貯留量を算出できることを説明しました。特に、IPCCの評価手法と互換性を持ちながら、炭素貯留量の推定が可能であることを強調しました。

 

発表後、いくつかのコメントをいただきました。アフリカからの参加者からは、「ロータリーキルンで製造したバイオ炭の温度を工業分析で推定できる可能性がある」と指摘があり、データの共有を求められました。また、他の参加者からは「我々が製造したバイオ炭を日本の工業分析で評価してほしい」との要望が寄せられました。この機会を契機に、データの共有を進め、IPCCの手法に代わる、より効率的な炭素貯留量の評価手法を共同で開発していきたいという意見もありました。

 

このように、我々が現在進めているバイオ炭の取り組みに対して高い関心を持っていただけることが実感でき、非常に有意義な大会参加となりました。



■問い合わせ先

日本バイオ炭コンソーシアム

〒567-8570 大阪府茨木市岩倉町2-150
TEL: 072-665-2570 (立命館大学研究部OICリサーチオフィス 担当:岡本・綾城・工藤)

Mail:rbrc@st.ritsumei.ac.jp

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