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研究員コラム⑮ 林永周先生

韓国のバイオ炭事情:バイオ炭肥料品質管理基準の新設によりバイオ炭活用の期待高まる

研究員コラム⑮ 林永周先生

韓国のバイオ炭事情: 

バイオ炭肥料品質管理基準の新設によりバイオ炭活用の期待高まる


立命館大学 経営学部 准教授

林永周


韓国農村振興庁は、農林業副産物や家畜糞を炭化した「バイオ炭」の肥料品質管理基準を新設して、「肥料工程規格設定」を今年2024年4月2日付けで改正した。

農村振興庁は独自に試験した分析資料などを元に、欧州バイオ炭認証(EBC)や国際バイオ炭イニシャチブ(IBI)などが策定したバイオ炭品質の国際的基準との調和を考慮しつつ、関連業界の意見集約及び専門家協議の過程を経た上で、この改正を行なった。

新設されたバイオ炭の品質管理基準の主たる内容は、次の通りである。

  • -主成分(炭素含量)の最小量基準値については、作物系バイオ炭は乾物で炭素残量40%、家畜系バイオ炭は30%にそれぞれ設定された。

  • -また、ヒ素、カドミウム、水銀などの有害成分の最大量基準値も定められた。水分の場合30%以下、塩分は乾物中に対して2%以下、塩酸不溶解物25%以下、炭化安定度などもそれぞれ提示された。


現行制度では肥料の品質管理のため、肥料工程規格が設定された肥料に限り、肥料生産(輸入)業登録後に販売できるように肥料管理法で規定している。今回の改正で画期的なことは、肥料工程規格にバイオ炭基準が新設されたことである。


これにより木材類、もみ殻、農作物残渣、果樹剪定枝などの農林副産物と牛糞、鶏糞などの家畜糞で製造したバイオ炭の生産販売(輸入)が拡大され、農耕地を活用した炭素貯蔵及び温室効果ガス排出量削減に積極的に活用されるものと予想される。


<参考資料1>

副産物肥料の工程規格設定

肥料の種類

主成分の最小量基準値

有害成分の最大量基準値

その他の規格

04.農林水産物副産物肥料

<定義>参考資料2の農林副産物バイオ炭に使用可能な原料を酸素が制限された条件の元350℃以上で熱分解して製造した物質

乾物重量に対する炭素換算40

乾物重量に対するヒ素 45mg/kg

カドミウム 5mg/kg

水銀 2mg/kg

鉛 130mg/kg

クロム 200mg/kg

銅 360mg/kg

ニッケル 45mg/kg

亜鉛 900mg/kg

1.水分30%以下

2. 乾物重に対する塩分2%以下

3.塩酸不溶解物25%以下

4.炭化安定度:いずれかの判定基準に適合していること

乾物重対して

a. H/C比0.7以下

b. O/C比 0.4未満

05.家畜糞バイオ炭

<定義>参考資料2の家畜糞バイオ炭に使用可能な原料を酸素が制限された条件の元350℃以上で熱分解して製造した物質

乾物重量に対する炭素換算30

乾物重量に対するヒ素 45mg/kg

カドミウム 5mg/kg

水銀 2mg/kg

鉛 130mg/kg

クロム 200mg/kg

銅 360mg/kg

ニッケル 45mg/kg

亜鉛 900mg/kg

1.水分30%以下

2. 乾物重に対する塩分2%以下

3.塩酸不溶解物25%以下

4.炭化安定度:いずれかの判定基準に適合していること

乾物重対して

a. H/C比0.7以下

b. O/C比 0.4未満

<参考資料2>

肥料の種類

原料

その他の事項

農林副産物バイオ炭

農作物残渣(作物を収穫して残った残渣で稲わらなど)、籾殻、果樹剪定紙、木材(おがくず、ウッドチップ、ウッドペレットなど)

肥料工程規格第6条第2号で定める病害虫に感染した果樹剪定枝と第4号の廃木材などは原料として使用できない。

家畜糞バイオ炭

家畜糞尿。農林副産物バイオ炭に使用可能な原料

1.家畜糞尿の合計量は70%以上でなければならない。

2.畜舎で使用されたわら(稲わら、籾殻、おがくずなど家畜堆肥及び堆肥の使用可能な原料)は、家畜糞尿法第2条により家畜糞尿に含める。

2024年4月2日報道資料引用修正(https://www.rda.go.kr/board/boardfarminfo.do?mode=view&prgId=day_farmprmninfoEntry&dataNo=100000794790&CONTENT1=null)

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