top of page

研究員コラム④ 佐藤伸二郎先生

水草(ホテイアオイ)由来バイオ炭の燃料・土壌改良材利用(SATREPS-EARTHプロジェクト)

研究員コラム④ 佐藤伸二郎先生

水草(ホテイアオイ)由来バイオ炭の燃料・土壌改良材利用(SATREPS-EARTHプロジェクト)

日本バイオ炭研究センター客員研究員 佐藤伸二郎

(創価大学理工学部 教授)

2023.11.28 


 現在、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が出資する地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)として、アフリカ・エチオピアにおけるプロジェクト「ナイルの源流エチオピア・タナ湖で過剰繁茂する水草バイオマスの管理手法と有効利用プロセスの確立」(The Project for Eco-engineering for Agricultural Revitalization towards Improvement of Human Nutrition (EARTH): Water Hyacinth to Energy and Agricultural Crops; SATREPS-EARTH; 2020~2025年度)の研究代表を務めています。このプロジェクトでは、リモートセンシングとAI技術を活用し、エチオピア最大のタナ湖で過剰繁茂する侵略的外来種水草ホテイアオイの持続可能な刈取モデルを開発します。刈取後のホテイアオイを固液分離しメタン発酵処理によりエネルギーと栄養分を回収した後、それを利用して現在世界中でスーパーフードと注目される微細藻類(スピルリナ)の大量培養を行い、更に現地企業とスピルリナ由来栄養補助食品の開発を行い、現地人々の栄養改善に役立てる環境技術の開発を目指しています。このプロジェクトを通じて、廃棄物から有価物への有効利用技術の確立に取り組んでいます。 


 その中で、固液分離されたホテイアオイの固形残渣物を製炭してバイオ炭とし、炭団(たどん)を作成して燃料利用する他、土壌施用して土壌環境改善と作物増収を目指しています。大量の廃棄物から燃料利用ができれば、燃料の90%以上をバイオマスに依存するエチオピアの燃料事情を改善し、更に木炭依存による森林伐採の緩和にも貢献できると期待されています。また、エチオピアの酸性で低生産的な土壌の物理・化学・生物的環境がバイオ炭の施用によって改善され作物増収につながれば、エチオピアの人々の食料事情また栄養環境を改善できる方法として、現地の共同研究者および政府関係者からも大きな期待が寄せられています。 


 プロジェクトを通じて日本とエチオピアの若手研究者の人的交流・育成(日本人研究者の現地での実験や、エチオピア研究者の日本での学位取得留学や短期研修など)に多く貢献できることも、このプロジェクトの大きな成果であります。研究活動や事業展開また人材育成などの面で両国の多数の方々がこのプロジェクトに関与し尽力頂いていることに研究代表として感謝しつつ、大きな成果を残していくことを決意しております。 

 

SATREPS 

https://www.jst.go.jp/global/ 

SATREPS-EARTHプロジェクト 

https://www.soka.ac.jp/satreps-earth/ 

【創価大学】<SDGsに貢献>廃棄物を有価物に―エチオピアのタナ湖を救え 

https://youtu.be/WdPNfQOv3Lk?feature=shared 




【タナ湖のホテイアオイ】



【エチオピアの共同研究者と】



【ホテイアオイバイオ炭を使ったトウモロコシ栽培実験】

bottom of page