
日本バイオ炭コンソーシアム
海外バイオ炭関連ニュース2/1-14
バイオ炭関連ニュース Quantum Carbon Dailyより

Quantum Carbon Daily (Quantum Commodity Intelligence in London)ニュースから、バイオ炭に関する記事を抜粋・要約してお届けします。(2025年2月1日から2月14日分)
出典:Quntum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)
(記事詳細は有料)
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■Marine biomass sinking tops CDR efficiency ranking: paper 2025年2月4日
(海洋バイオマス沈降がCDR効率ランキングのトップに)
米国の研究者とカーボンマーケット専門家が、海洋バイオマス沈降、汚泥隔離、カーボンキャスティング(炭素固定型ブロック化技術)といったBiCRS(Biomass carbon removal and storage)技術が、12の炭素除去(CDR)手法の中で最も環境的な利益が高いとする論文を発表した。一方、同論文では直接空気回収(DAC)や一部のバイオ炭プロジェクトは、気候変動対策としての効率が最も低いと指摘されている。
文献:“Carbon removal efficiency and energy requirement of engineered carbon removal technologies”
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/su/d4su00552j
■Almost all biochar firms struggle to find buyers: consultant 2025年2月6日付
(ほぼすべてのバイオ炭企業が買い手探しに苦戦)
バイオ炭業界では、CDRクレジットの販売は堅調だが、バイオ炭そのものの買い手を見つけるのに苦戦しており、これがクレジット供給の制約要因となっている。ノルウェーのコンサル企業Accendの調査によると、90%以上のプロジェクトがこの問題を「重大な課題」と認識しており、資金調達も業界の大きな課題である。一方で、バイオ炭の長期安定性に対する科学的コンセンサスが高まり、英国のピート使用禁止やデンマークの補助金制度など、政策支援がバイオ炭市場の追い風となっている。
■New ways needed to better track biochar CDR potential: research:2025年2月12日付
(バイオ炭のCDRポテンシャルを正確に追跡する新たな方法が必要)
米スタンフォード大学の研究者らが発表した新たな論文によると、現存する最大のバイオ炭分解データベースを分析した結果、「原料バイオマスの種類」「環境要因」「フィールドで測定された分解率」などの重要な展開指標が、現在の耐久性基準には十分に反映されていないことが明らかになった。こうした誤った前提が原因で、現在のモデルによるCO2除去量の計算では「過小評価」が蔓延しており、経済的・政策的観点からも問題があると警鐘を鳴らしている。
文献:“Do oversimplified durability metrics undervalue biochar carbon dioxide removal? ”
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/adac7b
■Novel CDR technologies unlikely to scale before 2040: report 2025年2月12日付
(新興CDR技術、大規模展開は2040年以降か)
新興の二酸化炭素除去(n-CDR)技術 ― 直接空気回収(DAC:Direct Air Capture))、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS:bioenergy with carbon capture and storage)、岩石風化促進(ERW:Enhanced Rock Weathering)、バイオ炭などのことで、植林や森林管理の改善といった自然由来の炭素除去は含まれない ― は今後15年間で大規模に展開することが難しいとみられる。これは、ボランタリーの需要に限界があることが要因だと、調査会社Verdantixが新たな分析結果を発表した。
報告書によると、n-CDR技術への投資は2013年の400万ドルから2022年には15億ドルへと急増したものの、現在の業界全体で年間数千トンのCO₂しか除去できていない。
■Scientists say BECCS carbon removal potential over-rated 2025年2月12日付
(科学者が警告:BECCSの炭素除去能力は過大評価されている)
バイオマスエネルギーと炭素回収・貯留(BECCS:bioenergy with carbon capture and storage)による二酸化炭素除去(CDR)を目的とした大規模な植林は、気候変動対策の炭素貯留には貢献できるものの、地球の生態系に悪影響を及ぼす可能性があり、十分な規模へ拡大するのは困難だとする新たな研究結果がCommunications Earth & Environmentに発表された。この研究では、BECCS用の植林地への土地転換が「惑星の限界(PB:Planetary boundaries)」に与える影響をモデリングによって評価した。
文献:“Multiple planetary boundaries preclude biomass crops for carbon capture and storage outside of agricultural areas” https://www.nature.com/articles/s43247-025-02033-6
参考:惑星の限界(Planetary Boundary https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=4484
■Ocean alkalinity enhancement could help Germany reach net zero: 2025年2月13日付
(海洋アルカリ度強化(OAE:Ocean alkalinity enhancement)がドイツのネットゼロ達成に貢献の可能性)
CDRmareが発表した報告書によると、バルト海と北海において、石灰岩やケイ酸塩岩などの微粉砕鉱物を海水に拡散すOAEのさまざまな手法を活用すれば、ドイツは年間1,800万t-CO₂e以上のCO₂を大気から除去できる可能性がある。この技術はドイツが自主的なネットゼロ排出目標を達成する上で有望な手段であり、ドイツ政府が掲げる2045年までの温室効果ガス排出ゼロ目標よりも早期に実現できる可能性があると、同国の研究機関のコンソーシアムは指摘している。ただし、海洋生態系への影響が大きいため、さらなる研究が必要だと、政府資金による研究プロジェクトが報告した。
参考:Ocean Alkalinity Enhancement (OAE)について