日本バイオ炭コンソーシアム
海外バイオ炭関連ニュース(2月下旬)
バイオ炭関連ニュース Quantum Carbon Dailyより
Quantum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)ニュースから、バイオ炭に関する記事を抜粋・要約してお届けします。(2024年2月前半分)
出典:Quntum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)
https://www.qcintel.com/carbon/ (記事詳細は有料)
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■Climeworks says US regulator should 'differentiate' CDR credits 2024年2月14日付
(クライムワークス、米国の規制当局はCDRクレジットを「差別化」すべきだと主張)
直接大気回収プロジェクトを開発したクライムワークス(スイス拠点)は、米国商品先物取引委員会(CFTC :US Commodity Futures Trading Commission)が昨年12月に発表した取引所ベースの炭素クレジットに関するガイドラインに対し、除去クレジットと削減クレジットを明確に区別するよう求めた。自主的炭素クレジット(VCC)において、「除去クレジットと削減クレジットは、経済的に特性が異なるクレジットであり、代替不可能な資産である」ことを強調している。
■MEPs, EU member states agree removals crediting framework 2024年2月20日付
(EUの議員(MEPs)と加盟国が、炭素除去を認める枠組みに合意した)
EUは炭素除去の認証枠組み(CRCF:Carbon Removal Certification Framework)について、対象となる炭素除去の基準を4つのカテゴリーに分けることで合意した。
Carriages preview | Legislative Train Schedule (europa.eu)
1.永久的な炭素除去。これは、大気中または生物起源の炭素を数世紀にわたって貯蔵する活動として定義される。 2.少なくとも 35 年間の期間が必要であり、監視期間全体を通じて現場で監視できる木造建築などの長期耐久製品における炭素の一時貯蔵となる。 3.森林や土壌の回復、湿地管理、海草牧草地など炭素農業(Carbon farming)による一時的な炭素貯蔵。 4.炭素農業による土壌排出量の削減。これには、土壌管理による炭素と亜酸化窒素の削減が含まれる。
CO2除去がEUの公的な認証制度に認められた意義は大きいが、特定の除去技術に関する詳細は今後の委任法(技術的措置)で決定されるため、バイオ炭が具体的にどのように採用されるかはまだ不透明である。
■Biochar forecast for six-fold output increase to 2025 2024年2月22日付
(バイオ炭の生産量は 2025 年までに 6 倍に増加すると予測:温室効果ガス):QCIの総説
2月12日~15日に米国のサクラメントで米国バイオ炭イニシアチブ (USBI) 年次会議が開催され600名が参加し、バイオ炭への高い関心が見られた。会議でUSBIのプログラム責任者・マイルズ-グレイ氏は、米国政府の強い関心と天然資源保全局の補助金により2025年に270万トンのバイオ炭生産量を計画しており、2023年の35万5000トンから6倍以上増加すると語った。米国におけるバイオ炭市場には大きな勢いがある。それが実現するには多くの投資が必要なだけでなく、バイオ炭価格が高いことで農家が買い控えていること、バイオ炭クレジット価格が高いとして購入者がまだ少ないことなど障壁は少なくない。
■Oxford University to release revised version of offset guidelines 2024年2月24日付
(オックスフォード大学がオフセットガイドラインの改訂版を発表)
オックスフォード・スミス・スクールによると、「ネット・ゼロに沿ったカーボン・オフセットのためのオックスフォード原則(オックスフォード・オフセット原則)」の改訂版が2月27日に発表される。2020年9月に初版が発表されたこの原則は、カーボン・オフセットが「ネット・ゼロ社会の実現に実際に役立つ」ことを論理的に示したガイドラインである。オフセットは、「大気中から炭素を直接除去する」手法を取り入れるべきであることを強調している。
The Oxford Offsetting Principles
https://www.smithschool.ox.ac.uk/research/oxford-offsetting-principles
■Deforestation up 15% in Indonesia from wood pulp sector: study 2024年2月27日付
(インドネシアで木材パルプ部門による森林破壊が15%増加)
インドネシアの森林減少を監視するNusantara Atlasの分析によると、木材パルプ産業の活動に起因するインドネシアの森林減少は、2023年に前年比15%増加した。Nusantara AtlasはSentinel-2とPlanet/NICFIの衛星画像を使用し、昨年28,000ヘクタールの原生林がパルプ材プランテーションに転換され、2023年比で15%増加したことを明らかにした。同調査は「木質ペレット、木材パルプ、衣料用ビスコース、紙、ティッシュ、包装材に対する世界的な需要の高まりが、インドネシアのカリマンタン地域(ボルネオ島)における新たな森林減少拡大の波を後押ししている」と付け加えた。
■German government sketches out 'tech-neutral' CDR policy 2024年2月28日付
(ドイツ政府、「技術中立的な*」CDR政策を構想)
ドイツ政府は、炭素除去(CDR)の活動から生成された炭素クレジットをEUの排出量取引制度にカウントするオプションを含む、CDR技術の使用に関する暫定目標および活用の戦略概要を示した。この背景にはEUが最近合意した炭素除去認証枠組みにおいて、排出目標に計上できるCDRクレジットの有効性を検討していることがある。この政策枠組みでは、直接空気回収、バイオマス発電の炭素回・貯蔵、バイオ炭を含む土壌中の炭素貯留、海洋ベースのCDR、製品中の CO2 貯蔵、岩石風化促進など、CDR 活動の全ての主要な種類とカテゴリーを検討することになる。
(*Technology-neutral: 技術中立的、技術中立性。特定の技術に依拠しないこと。特に立法の現場では、ある技術分野で将来多様な発展が確実視されている中で、技術的な変化に対応できるように法律や政策を作ることが望ましいという考え方)