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国内外バイオ炭ニュース4/22-5/11

バイオ炭関連ニュース Quantum Carbon Dailyより

国内外バイオ炭ニュース4/22-5/11

Quantum Carbon Daily (Quantum Commodity Intelligence in London)ニュースから、バイオ炭に関する記事を抜粋・要約してお届けします。(2025年4月22日から5月11日分)

出典:Quntum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)

(記事詳細は有料)

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■Aus. biochar developer picks Carbonfuture for digital MRV services: 2025年4月22日付

(豪バイオチャー開発企業、CarbonfutureとデジタルMRV支援システムで提携)

Carbonfutureは、Biomass Projects Australia(BPA)に対し、デジタルモニタリング・報告・検証(dMRV)支援システムを提供すると発表した。BPAは、2028年までに年間50万トンCO2eを除去することを目指すバイオマスプロジェクトを開発中である。このプロジェクトは、フィンランド拠点のPuro.earthによって認定されており、西オーストラリア州ピルバラ地域で、侵略的外来種のミズキをバイオ炭に変換する計画である。この大規模プロジェクトは、最終的に20年間で1,050万トンのバイオマスを熱分解してバイオ炭を生成、合計で1,020万トンのCO2e削減を見込んでいる。


(参考)MRV支援システム:プロジェクト実施者の利用申請に基づき、指定の方法論のプロジェクトについてモニタリング報告書・認証申請書・排出削減活動リストの作成と、審査機関の検証実施のための情報提供や一部検証報告書項目の入力に対する支援を行うシステムのこと。MRV支援システムの利用により、モニタリングから認証申請までの業務効率化が見込まれるほか、従来であれば人手で実施していたIoT機器等の情報の取りまとめや排出削減量の算定をシステムが行うことにより、改ざんや転記ミス等のリスク低減が見込まれる。


■Buyers' coalition approves supply from Puro.earth standard : 2025年4月23日付

(買い手連合がPuro.earth基準による供給を承認)

Puro.earthは、炭素除去市場で最大の認証機関であり、Alphabet、JPモルガン・チェース、Meta、マッキンゼー、Stripeといったテクノロジーおよび金融企業からなる10億ドル規模のCDR買い手連合「Frontier」から、「リーディング・クレジット発行者」に指定されたと発表した。これまで、英国拠点のIsometricが唯一の「リーディング・クレジット発行者」としてFrontierに認定されており、連合が発表した多くのカーボンクレジットのオフテイク契約を獲得していた。一方、Puro.earthはこれまで「認定プロバイダー」にとどまっていた。

この指定により、買い手連合の供給者は、自らの炭素除去プロジェクトをPuro.earthによって認証するという選択肢を得ることになった。ただし、Puro.earthの標準を使用してクレジットを供給するには、供給者の除去手法に特化した方法論がFrontierからも承認される必要がある。


■Biochar burial developer inks offtake with Microsoft: 2025年4月24日付

(バイオ炭埋設開発企業、Microsoftとオフテイク契約を締結)

米国を拠点とする開発企業Carbaは、同社の革新的なバイオ炭埋設プロジェクトからのCO2除去(CDR)クレジット4万4,000t分について、テクノロジー大手のMicrosoftと5年間のオフテイク契約を締結した。Carbaによれば、このプロジェクトは、英国のCDR基準機関Isometricが策定した、低酸素環境へのバイオ炭埋設に関するストレージモジュールを採用する初の事例になるという。

Carbaは、自社特許の自己熱型熱分解(autothermal pyrolysis)技術を活用し、バイオマス廃棄物をバイオ炭に変換、その後、埋立地などの低酸素環境に地下埋設している。


(参考)Autothermal Pyrolysis : https://www.biorenew.iastate.edu/research/thermochemical/autothermal

自己熱型熱分解は、反応器内で熱分解生成物を部分酸化することにより熱分解のエネルギーを提供し、従来の熱分解の熱伝達のボトルネックを解消する。自己熱型熱分解には次の 4 つの利点がある。①反応器の設計が簡素化されるため、熱伝達装置が不要になる ②プロセスの強化により、少ない入力で目的の生成物の出力が向上する ③流動化剤として窒素またはその他の不活性ガスの代わりに空気を使用する ④資本コストを 25% 以上削減する。生成するバイオオイルから糖、フェノール油、バイオアスファルトおよびディーゼル燃料代替品、バイオ炭も生成される。


■Puro issues first biochar CDR credits from a project in China: 2025年4月24日付

(Puro、中国のバイオ炭プロジェクトから初のCDRクレジットを発行)

Puro.earthによると、AIサステナビリティ技術企業Mio Techによる南京念达バイオ炭プロジェクトが、農業廃棄物をバイオ炭に転換する取り組みの中で、CO₂除去証明書(Corcs)を創出した。Puro.earthによれば、中国では毎年約8億トンの農業廃棄物が発生しており、野焼きやそのまま畑に戻すといった一般的な管理方法により環境問題が生じている。さらに、作物収量の増加を求める圧力から肥料の過剰使用が進み、温室効果ガス排出や「非点源汚染」が深刻化、農業生態系にリスクをもたらしているという。南京念达プロジェクトは、農家と協力して廃棄物を収集・バイオ炭化し、同じ農地で再利用することでこれらの問題に対処している。


■Waste plant to test new pyrolysis tech impact on 'forever chemicals': 2025年5月8日付

(廃棄物処理施設、「永久に残る化学物質(PFAS)」に対する新型熱分解技術の効果を検証へ)

カナダの熱分解システム製造企業Char Technologiesは熱分解技術が有機廃水残渣からいわゆる「永久に残る化学物質(PFAS)」をどれほど除去できるかを実証する試験を開始する。バイオ炭を利用してCO₂除去クレジットを生成するプロジェクトにとって、PFAS汚染はクレジットの信頼性に関わる大きな課題である。バイオソリッドを原料とする熱分解型バイオ炭システムは、カーボン除去(CDR)クレジットの創出に大きな可能性を持つが、PFASなどの環境汚染の懸念が、プロジェクトの実現を妨げる要因となっている。


(参考)

*PFAS(有機フッ素化合物):有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされている。PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきた。これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する取り組みが進められている。

環境省 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

*2.バイオソリッド(Biosolids):下水汚泥の処理を通じて生成される固形物質で、農業利用や土壌改良など有益な目的に活用される資源のこと。バイオソリッドは、循環型社会や炭素除去クレジット(CDR)生成においても注目されており、熱分解など先進的処理技術との連携により持続可能性の高い資源としての活用が進められている。適切に処理・管理されれば安全に再利用できる一方で、重金属やPFAS、微生物性病原体を含む可能性もある。そのため、リスクを低減するための処理工程(例:高温処理、乾燥、消毒)や運用基準の順守が不可欠である。


■問い合わせ先

日本バイオ炭コンソーシアム

〒567-8570 大阪府茨木市岩倉町2-150
TEL: 072-665-2570 (立命館大学研究部OICリサーチオフィス 担当:岡本・綾城・工藤)

Mail:rbrc@st.ritsumei.ac.jp

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