
日本バイオ炭コンソーシアム
国内外バイオ炭ニュース3/15-31
バイオ炭関連ニュース Quantum Carbon Dailyより

Quantum Carbon Daily (Quantum Commodity Intelligence in London)ニュースから、バイオ炭に関する記事を抜粋・要約してお届けします。(2025年3月15日から3月31日分)
出典:Quntum Carbon Daily(Quantum Commodity Intelligence in London)
(記事詳細は有料)
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<海外ニュース>
■CDR companies should stay lean during Trump era: 2025年3月20日付
(トランプ時代にはCDR企業はスリム化を)
二酸化炭素除去(CDR)に特化したスタートアップ企業は、今後数年間のトランプ政権下で生き残るために、その活動を異なる政治環境に適応させる必要があると、米国エネルギー省(DoE)の元DACハブ・プログラムマネージャーであるグラント・ファーバー氏は述べた。昨年、トランプ米大統領は、化石燃料の生産を促進し、気候変動政策を抑制するという公約で再選されたが、CDRについては何も言及していない。バイデン政権下でCDR政策を主導していた主要政府機関の一つであるDoEでは、ここ数週間で数百人の職員が解雇され、その中には、ファーバー氏も含まれている。ファーバー氏はブログ投稿の中で、今後数年間、資金調達が困難になる中で、CDRに特化したスタートアップ企業は以前と非常に異なる環境に備えるべきだと述べている。
■Artisanal biochar trades at growing discount to industrial: 2025年3月21日付
(アーティザナル・バイオ炭、工業製品に比べて割安で取引拡大)
2022年にスイスのCSI(Carbon Standard International)から発表された「グローバル・アーティザナルC-Sinkスタンダード」は、小規模農家から出る廃バイオマスを認証対象としており、発展途上国でも展開可能な製炭・認証である。関係者筋によると、アーティザナル・バイオ炭クレジットは、工業的な高技術プロジェクトに比べて割安で取引されており、現在はCO2換算トンあたり90ドル前後。一方、工業製品は150〜200ドル。その背景にはより貯留ポテンシャルの高いプロジェクトから購入したいという購入者の意思とメタン排出への懸念があるという。
(参考)アーティザナル・バイオ炭:小規模で職人的な方法で作られたバイオ炭のこと。一般的には、発展途上国の小規模農家や地域コミュニティが、簡易な設備を使って廃バイオマスから作る。
CSI:Carbon Standard International: Artisan C-Sink
■Isometric consults on river alkalinity enhancement method: 2025年3月26日
(Isometric、河川アルカリ性強化法に関する新しい手法について意見を募集)
イギリスに拠点を置くCO₂除去(CDR)のスタンダードを手掛けるIsometric社は、河川が大陸から海洋へと炭素が移動する主要な方法であり、毎年最大で25億トンのCO₂が大気中に放出されていることを指摘している。このスタンダードを提供しているIsometricは、河川アルカリ性強化(RAE)からCDRクレジットを生成する新しい手法についての意見を募集している。RAEは、石灰岩のような微細に砕いたアルカリ性の岩を河川水に加えることによって、河川内のCO₂と反応させ、これが「安定した炭酸塩および重炭酸塩イオン」に変換されるプロセス。これにより、河川内の二酸化炭素が大気中に放出されるのを防ぎ、数万年にわたって海洋に貯蔵されることになると同社は説明している。
■Carbon pricing could help with removal of invasive alien trees: 2025年3月28日付
(炭素価格制度、外来侵略種の樹木除去を後押しする可能性)
Commonwealth Forestry Associationの報告書によると、外来の侵略的樹木の除去は、そのバイオマスを活用するバリューチェーンにおける炭素価格制度によって促進される可能性があるという。調査は南アフリカで実施され、外来樹木由来のバイオマスがバイオ炭、薪炭、チップ燃料の3つのバリューチェーンに供給されるケースを検討した。中でもバイオ炭は、CO₂除去に関連した高価値のカーボン・クレジットが得られる可能性があり、農家やユーザー側の支払意欲が低く、バイオ炭価格が安くても採算が取れる可能性があるという点で有望視されている。
(参考)International Forestry Review, Volume 27, Number 1
“Carbon markets can support invasive trees’ control with biomass-based value chains”
■New production model takes root in African biochar: 2025年3月31日
(アフリカのバイオ炭に根づく新たな生産モデル)
アフリカにはバイオ炭生産に必要な原料が豊富にあるが、多くの農業は小規模で分散しており、大規模集中型の欧米式モデルが適用しにくい。そんな中、2015年にケニアで設立されたスタートアップSafiOrganicsは、米国Takacharと連携して小規模・分散型の移動式炭化装置を使い、地元の農業廃棄物を活用したバイオ炭を生産、酸性化した土壌の改善と収穫量・所得の向上を実現している。この分散型・成果連動型のモデルは、他の新興国にも適用可能な「設計図」とされ、気候変動対策・若者の雇用創出・農業改革を同時に進める、アフリカ発の革新的な取り組みとして注目されている。
<国内ニュース>
■Japan duo explore several options for creating J-Credits: 2025年3月17日付
(日本の2社、J-Credit創出のための複数の選択肢を模索)
日本に拠点を置くディベロッパーGreen Carbon社は、奈良県の株式会社ペーパル紙製造業者と提携し、J-クレジット制度を活用した米紙「こめかみ」の生産に対するオフセットを行い、炭素クレジットの創出のための他の選択肢も探っている。
Kome-kami(こめかみ)とは、加工・流通段階や家庭で出る食用に適さない米や、廃棄される備蓄用アルファ米と、FSC認証パルプでアップサイクルした紙素材のことをいう。両社は、ペーパルが製造する米紙「こめかみ」の生産に関連する温室効果ガス排出量を測定し、Green Carbon社が提供する水田由来のJ-クレジットでカーボンオフセットを実施する。さらに、製紙工場で廃棄されている製紙汚泥を原料としたバイオ炭を農地に散布する実証を開始した。また、地域の農家からもみ殻を収集し、それを炭化し、できたバイオ炭を農地に撒き、炭素クレジットを創出する方法も検討されている。
(参考)株式会社ペーパル プレスリリース
食べられなくなった「お米」を活用した紙の新素材「kome-kami」を発売
(参考)Green Carbon株式会社 ニュース
奈良県の老舗紙屋である株式会社ペーパルと連携し、米を活かした紙「kome-kami」製造時の排出量を水田由来のJ-クレジットでオフセット
(参考)株式会社ペーパル プレスリリース
Green Carbon株式会社と連携し、米を活用した紙「kome-kami」製造時の排出量を水田由来のJ-クレジットでオフセット
■Japanese brewery to use nature-based credits for net-zero targets: 2025年3月24日付
(日本のビール会社、ネットゼロ目標達成のために自然ベースのクレジットを使用)
キリンホールディング株式会社は、SBTイニシアチブ(以下、SBTi)に沿って「キリングループ カーボン・クレジット方針」を策定し、残余の排出量をオフセットするために自然ベースの炭素クレジットを使用する計画であること発表した。同社は、2050年のネットゼロ目標の一環として、追加性、永続性、社会経済的共同利益などの重要な原則に焦点を当て、自然ベースのクレジットを優先していると述べた。同社は、科学的手法を用いて自然ベースの炭素クレジットを創出するための研究も行っていると述べている。
(参考)キリンホールディングス ニュース