top of page

ワークショップ開催報告

2023年11月21日にワークショップを開催

ワークショップ開催報告

日時:20231121日(火) 15:00-17:15

場所:立命館大学大阪いばらきキャンパス・対面とオンラインのハイブリッド開催

登壇者:大木 武彦氏(株式会社大木工藝 代表取締役)

    時田 侑典氏(時田毛織株式会社 新規事業部 主任)


 有機系の廃棄物には実に様々なものがあり、木材や食品くず、プラスチックやカーボンファイバー、衣料繊維など高度に工業製品化された炭素系素材もあります。これらの廃棄物は製造工程から出てくる物もあれば、製品として消費されて出てくる物もあり、品種によっては相当な数量になり地球温暖化を含む環境負荷が問題視されているものもあります。

 そのうち再利用やリサイクルされるのは一部だけで、多くは適切な処理方法がなく業界ではその対応を模索している現状です。その処理方法のひとつとして炭化して廃棄量の減容化を図るとともに、できた炭化物を再利用するということが重要です。

 

今回のワークショップでは、2名の会員企業の方にお話をいただきました。


 最初に滋賀県大津市にある株式会社大木工藝の大木氏が講演しました。同社はこれまでに廃プラスチックを中心に炭化してきました。プラスチックの化学構造は規則的なのでその炭化物の細孔サイズが均一となり、微細孔を有する吸着材となり、これを進化型活性炭と名付けて多孔質活性炭やカーボンウェーブシートなどの商材を開発してます。プラスチック以外にも廃棄衣類、廃棄家電、廃タイヤなど様々な廃棄物を炭化し、融雪剤、土壌改良剤、舗装ブロックなどとして既に日本各地で活用されており、また、靴や傘の廃棄物を炭化した炭化物を元の製品に使う循環型活用という実験も行っています。視察や海外からの問い合わせもあるとのことで、工業製品の炭化技術に対しての関心の高さがうかがえました。


 次の講演は時田毛織株式会社の時田氏です。同社は毛織物の産地、尾州(びしゅう)地区の愛知県一宮市に所在地を置いてます。アパレル業界は世界で2番目にCO2排出量が多い業界であるというショッキングな現状と、生産工程が分業構造であるうえに古着の分別の難しさから、回収・再生利用が進んでいない現状を詳細に解説しました。長い繊維産業の歴史の中で、近年では環境配慮が重要視されるようになり、生産から廃棄までの流れの中で繊維製品の資源循環など、廃棄物削減と環境負荷低減のための改善策が求められており、そこに炭化技術やバイオ炭の活用が取り入れられないかを真剣に検討されておりました。


 大木氏によると、「環境配慮を行わない企業は生き残りが難しくなっていく時代の中で、廃棄物を大量に出しているメーカーは、自ら排出した廃棄物を自ら処理しようとするところが増えてきている。」とのことでした。時田氏のように炭化がその解のひとつではないかと可能性を探っている企業からの相談はコンソーシアム会員企業からも多数寄せられております。会員同士でそのような情報共有をして方向性が見えてくるように当コンソーシアムも働きかけてまいります。

 最後に素晴らしい講演をしてくださった大木氏と時田氏に感謝いたします。

(文:沖森泰行、土井美奈子)

bottom of page