日本バイオ炭コンソーシアム
ワークショップ開催報告
2024年5月16日にワークショップを開催
日 時:2024年5月16日(木) 15:00-17:00
場 所:立命館大学東京キャンパス・対面とオンラインのハイブリッド開催
登壇者:今井一隆 氏(公益財団法人・都市緑化機構 研究部長)
大西竹志 氏(株式会社日比谷アメニス 環境エネルギー部 課長)
梅澤美明氏(株式会社イーエヌツープラス 代表取締役、立命館大学・日本バイオ炭研究センター 客員研究員)
都市や近郊で広く存在する公園や緑地帯には、ある程度大きな面積とバイオマス量が存在しており、そこから発生する剪定枝量も小さくなくその利活用が以前から議論になってました。一方、バイオ炭で利用できる炭素クレジットには、国内ではJ-クレジット制度でAG-004(バイオ炭の農地施用)がありますが、バイオ炭を施用できる対象は農地に限定されており、公園や緑地帯まだその対象地になっていません。そのため、緑地に関わる民間セクターの中でも、公園や緑地帯でバイオ炭やその炭素クレジット化にして活用する議論があまり進んでおりません。そこで、今回、そもそも公園緑地・緑地帯が日本国内の温室効果ガス(GHG)インベントリでどのように評価されてるかということ、公園緑地・緑地帯の剪定枝利活用の方策や、その方策のひとつとしての炭化の課題などについて、その専門の方々から具体的な話しをしてもらいました。
今井氏には、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」内で報告されているバイオマスの吸収量の計算方法、算定に必要なデータ、ここ数十年のバイオマス吸収量の推移についてお話しいただきました。その上で今後、バイオ炭の公園・緑地帯での活用を新たな吸収源として追加することに意味はあるとのお言葉をいただきました。
大西氏には、公園や緑地を管理する立場から、全国の剪定枝の賦存量、その剪定枝を炭化し公園・緑地に施用した場合の貯留量の推計や、苗木植栽へのバイオ炭施用効果の実証実験の結果などをお話しいただきました。農地施用と同様、バイオ炭施用による樹木への影響については科学的研究成果の必要性が指摘されました。
梅澤氏には炭化炉の体系的分類から公園や街路樹の剪定枝の炭化に適した装置をいくつかご紹介いただきました。剪定枝の炭化を検討する際には、原料の乾燥の方法や、原料とできた炭の運搬を考慮した炭化炉の設置場所、炭化炉の規模など様々なポイントがあります。ただ剪定枝炭化の事例はまだ少なく、自治体と一緒に検討していく必要性が指摘されました。
(文責:土井美奈子)